Salesforceをはじめとしたエンタープライズアプリケーション、さらにはAgentic AIの開発では、リリースサイクルの高速化とともに、テストの実行回数・種類、それに関与する担当者は加速度的に増えています。そこで重要となる自動テスト、CI/CDパイプライン、Sandboxや本番環境ごとの検証。これらは確実に品質向上に寄与している一方で、「テスト結果が分散し、全体像が見えなくなる」という新たな課題も生み出しています。
こうした背景の中で登場したのが、『Provar Quality Hub(旧称:Provar Manager)』です。Quality Hubは、Provarの基本モジュールである自動テスト実行ツール「Provar Automation」や手動テストを含む実行結果、品質指標をクラウド上に集約・可視化するためのダッシュボードプラットフォームです。
これを一言で言えば、「バラバラに動いているテストの状況を、誰でも一目で把握できる“品質の管制塔”」のような役割を担います。本ブログ記事では、なぜ今Quality Hubが必要なのか、またProvar全体の進化の中での位置づけ、機能や特長などを解説します。
なぜ今、Quality Hubが必要なのか
多くの組織では、Salesforceプラットフォームに限らず、すでに自動テストは日常的に実行されています。しかし現実には、次のような状況に陥りがちです。
●テストは走っているが、結果は個々の担当者しか把握していない
●CI/CDのログはあるが、非エンジニアには理解できない
●「失敗した」という事実は分かっても、それが一時的なものか、構造的な問題か判断できない
つまり、テストは存在していても「品質として共有されていない」のです。Quality Hubは、このギャップを埋めるために設計されています。テストを「実行する行為」から、「品質を判断し、意思決定に使う情報」へと昇華させる─それがQuality Hubの出発点なのです。
Quality Hubの役割とは
Quality Hubは、Provar AutomationやCI/CD環境と連携し、次のような価値を提供します。
中央集権的な可視化:ローカルPC、CI/CDパイプライン、複数のSandboxや本番環境で実行されたテスト結果を一箇所に集約します。プロジェクトや環境をまたいだ状況を、1つの画面で把握できるようになります。
品質の傾向分析(トレンド分析):単発の成功・失敗だけでなく、「過去1週間・1か月で成功率がどう変化しているか」といった推移を可視化します。これにより、リリース可否(Go / No-Go)の判断を、感覚ではなくデータに基づいて行えるようになります。
Salesforceメタデータ変更の影響把握:Salesforce特有の課題として、メタデータ変更がテストや業務に与える影響があります。Quality Hubでは、変更とテスト結果を並べて確認できるため、「どの変更が品質リスクを生んだのか」を追いやすくなります。
ステークホルダーへの共有:エンジニアだけでなく、管理者や業務担当者が、技術的な詳細を知らなくても品質状況を理解できるUIを提供。品質が“現場だけのもの”ではなく、“組織全体の共通言語”になります。
Provar製品群の中でのQuality Hubの位置づけ
Provarは現在、単なるテスト自動化ツールから品質管理プラットフォームへと進化しています。その中でQuality Hubは品質管理の中心的な役割を担います。
Provar Automation:Provar製品の中核となるモジュールで、テストを作成・実行する強力な自動化エンジン。AI機能やSalesforceに特化したエンドツーエンド(E2Eテスト)を担います。
Provar Quality Hub:AutomationやGridと連携し、従来のProvar Managerが提供するSalesforce上でテスト計画やスケジュールを管理する運用レイヤーに加え、可視化・分析レイヤーを強化し、集約したデータを統合する洗練されたダッシュボードを提供します。
Provar Grid:Provarの自動テストを速く、安定かつ大規模に実行するための分散実行機能。いわば、“テスト実行をスケールさせるためのエンジン(実行基盤)”と言える機能です。
今回は単なる名称変更ではありません。「管理(Manager)」から「品質の拠点(Hub)」へという役割の変化を示しています。Quality Hubは「置き換え」ではなく、従来の機能を継承しつつ、分析・可視化が強化された進化形なのです。
Quality Hubの主な機能とメリット
Quality Hubは、Provar Automationによる自動化だけでなく、手動・API・リリース履歴のすべてをSalesforce上に集約します。エンジニアだけでなく、管理者やビジネス担当者が「現在の品質の健康状態」を直感的に理解できるダッシュボードを提供します。これにより、品質管理を「QAチームの専門業務」から「ビジネス成功のための共通目標」へと一般化させます。
1. リリース判定の可視化(Release Readiness)
テスト結果、カバレッジ、欠陥傾向、環境別リスクを統合ダッシュボードで表示。QA、開発、管理部門、ビジネス部門が共通の品質指標でリリース可否を判断可能です。
2. 自動化・手動テストの統合管理
Provar Automationによる自動テストと手動テスト結果を単一基盤で管理。AIエージェントを含む複雑な業務フローの品質を一貫して追跡できます。
3. Salesforce DevOpsとの連携
Copado、Gearset、Jira、Azure DevOpsなどと連携し、デプロイからテスト、課題管理、再検証までを品質フローとして可視化します。
4. Agentforce時代のE2E品質管理
Provar Managerとの連携により、マルチエージェント環境、外部API連携、業務シナリオベースのE2Eテストに対応し、“業務が正しく動くか”という観点での品質保証を実現します。
5. ガバナンス・監査対応
テスト証跡、実行履歴、承認フローをSalesforce上に保持し、金融・公共・大規模企業の監査要件にも対応します。
まとめ:Quality Hubがもたらす”次世代の品質管理“
Quality Hubが注目される理由は、従来のテストツールとは異なる視点を持っている点にあります。一つは脱・属人化。特定の担当者のPCや知識に依存せず、ブラウザを開くだけで品質状況を確認できます。また蓄積されたテストデータは、将来的に「どこにリスクが集中しやすいか」をAI・予測分析する基盤になります。
Quality Hubは、単なるダッシュボードではありません。それは、テスト結果を“行為のログ”から“意思決定の材料”へと変えるための中核です。Salesforce開発のスピードが上がるほど、品質は個人では守れなくなります。だからこそ今、組織全体で品質を共有し、判断できる「Hub」が求められているのです。
このようにProvar Managerは、Quality Hubへ「進化した」と言えます。アドックインターナショナルは、Provar Quality Hubを中核としたSalesforceおよびAgentforce向け品質基盤構築のための支援サービスを拡充し、企業のAI活用と業務変革を“品質”の観点から支援してまいります。詳しくは「お問合せ(CONTACT)」 までご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1.Provar Quality Hubとは何ですか?Salesforceテストで果たす役割は?
A.Quality Hubは、Salesforceをはじめとするエンタープライズアプリケーションのテスト結果や品質指標をクラウド上に集約・可視化するための品質管理プラットフォームです。自動テストやCI/CDパイプラインで実行された結果を一箇所にまとめ、「現在の品質状態」や「リリースのリスク」を誰でも把握できる“品質の管制塔”として機能します。
Q2.Quality Hubは、Provar Automationなしでも利用できますか?
A.いいえ。Quality Hubは単体の可視化ツールではなく、テスト実行結果を集約・分析することを前提としたプラットフォームです。特にSalesforce環境では、Provar Automationと連携することで、マルチ環境・E2Eテストの結果やメタデータ変更の影響を含めた品質状況を一元的に把握できる点が強みとなります。
Q3.Provar ManagerとQuality Hubの違いは?別製品でしょうか?
A.現在は、従来のProvar ManagerがQuality Hubへと進化・統合されたという位置づけが正確です。テスト計画やスケジュール管理といったManagerの機能を継承しつつ、Quality Hubでは分析・可視化・共有の役割が強化され、既存ユーザーは、従来の運用を維持したまま、より高度な品質可視化を行えます。
Q4.Quality Hubは、どのような立場の人にとってメリットがありますか?
A.Quality Hubは、テスト実行者やQAエンジニアだけでなく、プロジェクト管理者やビジネスオーナーにも有用です。技術的なログを詳しく読まなくても、ダッシュボードを見るだけで「品質は安定しているか」「今リリースして問題ないか」を直感的に理解できるため、組織全体で品質を共有・判断できるようになります。
Q5.AIや自動化が進む中で、なぜQuality Hubのような品質可視化が重要になるのですか?
A.通例、開発やテストの自動化が進むほど、実行されるテストは増え、結果は分散しやすくなります。
Quality Hubは、こうした大量のテスト結果を蓄積・可視化し、品質の傾向やリスクを俯瞰するための基盤です。将来的なAI分析や予測にもつながるデータを集約することで、品質を「事後確認」ではなく「判断材料」として活用できるようになります。
まずはProvarを試してみませんか?
