前回 (第2回の前編) は、最適な自動化ソリューションによってSalesforceプラットフォームの統合テストをサポートすることで、エンドツーエンド (E2E) のテスト戦略を強化する方法と手順などについて紹介しました。
この後編ではProvarによる統合テスト実現のメリット、また、やはりE2Eテスト戦略の重要な要件となる回帰テストの自動化ソリューション適用についても触れています。開発に伴う新しい機能の追加や改修作業、さらに定期的なSalesforceのバージョンアップによる更新や機能変更が既存の機能やUIに悪影響を与えないことを確認し、システムの整合性と信頼性を維持するために、回帰テスト自動化の取り組みは必須となっています。
Salesforce統合テストにProvarを採用する理由
Provarは開発時からSalesforce専用に設計されており、Salesforce固有の課題に対応する強力なテスト自動化と品質向上のための機能を提供します。ProvarはSalesforce自体のバージョンアップに伴うテストに深くかかわっており、メジャーリリースのタイミングに同期して、Salesforceの最新の更新や機能を早期に追加しています。
緊密なSalesforce統合
ProvarはSalesforceと緊密に統合されており、他のテスト自動化ツールでは実現できないネイティブなエクスペリエンスを提供します。両者の緊密な統合により、テストが常にSalesforceの構成やカスタマイズと自動で同期するようになり、正確で信頼性の高いテストケースを容易に作成できるようになります。
ビジュアルなテスト設計
Provarの直感的なコード不要のインターフェイスにより、ユーザーはドラッグアンドドロップ方式で視覚的にテストを設計できます。この使いやすさを活かし、技術系と非技術系の両方のチームメンバーがテスト作成に参加することで、コラボレーションを促進してテストプロセスをスピードアップできます。
UIからAPIテストまで包括的なテスト範囲
ProvarはUIおよび機能テストから回帰テストやAPIテストまで、幅広いテストシナリオをサポートしています。この包括的なカバレッジにより、Salesforce統合環境のあらゆる側面が徹底的にテストされ、潜在的な問題がビジネスに影響する前に特定されます。
データ駆動型テスト
Provarの適用によって、複数のデータセットを使用して現実のシナリオをシミュレートする「データ駆動型テスト」を作成できます。この機能により、統合プラットフォームがさまざまな入力条件をどのように処理するかをテストし、テスト範囲を拡大してエッジケース (極端なパラメータや動作環境によってまれに生じる不具合) を特定することが可能になります。
継続的インテグレーションと継続的デリバリー (CI/CD)
ProvarはJenkins、GitLab、Azure DevOps などの一般に利用されるCI/CDツールと統合され、開発ライフサイクル全体にわたって継続的なテストを可能にします。ProvarをCI/CDパイプラインに組み込むことで、エンドツーエンドのテストの実行を自動化し、統合テストで起こる問題を早期に検出して解決することができます。
リアルタイムレポートと分析
Provarはリアルタイムのレポートと分析機能を提供し、テスト結果、欠陥、システム全体の健全性を即座に可視化します。ここから得られる洞察により、情報に基づいた意思決定、修正の優先順位付け、さらには時間の経過に伴う進捗状況の追跡が可能になります。
Salesforceの統合テストの課題を乗り越える
統合テスト自動化の取り組みにおいて、直面する課題の一つはSalesforce環境内外で相互接続されたシステムの複雑さに起因するものです。これにより統合の不具合の根本原因を特定して切り分けることが困難になり、さまざまなコンポーネント間のバージョンの不一致や、テスト中に障害が発生する可能性があります。さらに、統合環境の動的な性質により、安定した再現可能なテスト条件を作成することが困難になる場合もあります。
そこで、Provar AutomationやProvar Gridなどの自動テストツールを実装すると、プロセスを合理化でき、統合の問題を迅速に検出して解決することができます。またシステムの依存関係、バージョン管理、構成の詳細に関する包括的なドキュメントを保持しておくことも、トラブルシューティングに役立ちます。開発、テスト、運用の各チーム間のコミュニケーションが円滑化することで、より総合的なアプローチが促進され、統合テストが受動的なものから積極的な取り組みへと変化し、最終的にSalesforceシステムの信頼性と安定性が飛躍的に向上します。
継続的な回帰テストの自動化のために
一方、回帰テスト (リグレッションテスト) はソフトウェア・アプリケーションの信頼性を確保し、最新の変更や更新が既存の機能に悪影響を与えていないことを確認する上で重要な役割を果たします。各テスト工程で発生した不具合の改修に伴う影響の確認やリリース前の最終チェック、また新機能の追加やUIの変更などに応じて、テスト範囲が拡大する可能性があります。
ただし、手動の回帰テストは時間と手間がかかるため、エラーが発生しやすく、リソースを大量に消費するリスクがあります。その解決策として有用なのは、回帰テストを自動化してプロセスを合理化し、効率を高め、優れたソフトウェア品質を実現することです。
回帰テストをなぜ自動化するのか?
回帰テストは、ソフトウェアテスト・ライフサイクルの重要なコンポーネントです。これは、以前に検証された機能を再テストして、新しいコードの変更、更新、または統合によって意図しない副作用が発生していないことを確認するものです。これは、年3回のメジャーバージョンアップを実施するSalesforceプラットフォームに関わるアプリケーション全体の安定性と信頼性を維持するためにも不可欠です。
高信頼かつ高精度の回帰テスト戦略がなければ、わずかなコード変更のたびに重大な問題が発生し、慢性的なテスト担当者の不満とユーザーや顧客の信用失墜、収益の損失、時に企業や組織の評判の低下を招く可能性があります。
適正な自動テストツールの実装によって回帰テストを自動化できると、自動化されたテストがより高速かつ頻繁に実行されるようになるため、効率が向上し、テスト担当者はより生産的なタスクに集中できるようになります。また、テストが自動化されることにより人的エラーが排除されるため、精度の確保とコスト削減にも役立ちます。さらにProvarの場合は、テストスクリプトを複数の回帰サイクルで再利用でき、自動化によりアプリケーションの複雑さの増大に対応可能なため、再利用性と拡張性が向上し、包括的なテストカバレッジが確保されます。
回帰テストを自動化するためのポイント
回帰テストを自動化するのは面倒に思えるかもしれませんが、適切なアプローチを使用すれば、管理しやすく、非常に効果的になります。以下では回帰テストの自動化に際して検討すべきプロセスを簡単にまとめています。
テスト自動化のROIを検討する
最初にコスト削減 (時間の節約、リソースに関するコストカット、欠陥防止) とテスト自動化ソリューションへの投資を比較します。たとえば英Provar社は「Provar ROI Calculator」と呼ぶ簡易ツールを用意しており、このプロセスの簡素化を支援しています。
テストケースの優先順位を決める
自動化する前に、影響の大きいテストケースを特定して優先順位を付けます。これにより、重要な機能が常に最初にテストされるようになります。
テスト開発時間を短縮
テストをより小さく管理しやすい部分に分割して、開発プロセスの合理化を図ることで、テストケースの作成をスピードアップします。
コンポーネントの再利用とデザインパターンを活用する
モジュール式コンポーネントを開発し、一貫した命名規則に従うことで、コードの明確さを高め、担当者およびチームのコラボレーションを促進します。
さまざまな環境でテストを実行する
さまざまな設定にわたって堅牢性を確保するために、複数の環境でテストを実行する最適なテスト自動化ソリューションを実装します。
定期的にテスト戦略を見直す
自動化された回帰テストを継続的にレビューして改良し、その有効性と信頼性を確保します。こうしたプロセスを一貫してサポートできる最適な機能性と経済性を評価して、テスト自動化ソリューションを採用することが成功のカギとなります。
Provar Automationによる自動回帰テストの実現
Provarの基本モジュールであるProvar Automationは、Salesforceにおけるテストと品質のプロセスを簡素化および強化するために開発されたソリューションです。同製品は、Salesforceのローコード開発プラットフォームを念頭に置いて設計された直感的なインターフェイスを提供することによって、あらゆる経験レベルのテスターであっても回帰テストの実施プロセスをリードできるようになります。インテリジェントなテスト設計機能によって包括的なテストカバレッジが保証され、CI/CDパイプラインおよび既存のワークフローとのシームレスな統合を実現することにより、効率と生産性が最大限に高まります。
また、Provar Automationのスケーラブルなアーキテクチャは、小規模なアプリケーションから複雑なエンタープライズシステムまで、さまざまなテストニーズに対応します。スモールスタートから回帰テストの取り組みを加速し、市場投入までの時間を短縮して競争力を強化します。
回帰テストの自動化は、効率の向上、リリースサイクルの高速化、優れたソフトウェア品質の実現に不可欠です。前述の手法を実践することで、テスト担当者やチームは回帰テストの効率を向上し、自動化のメリットを最大限に活用することができます。このように回帰テストに最適な自動化ソリューションを適用できると、手動テストからのスムーズな移行、リソースの効率化とコスト削減、ソフトウェアの高い品質を確保することができます。
結論
堅牢で信頼性の高いSalesforceアプリケーションを開発・運用するには、エンドーツーエンドのテスト戦略を踏まえた統合テスト、回帰テストの確実な実践が不可欠です。
自動テストを成功させる基本的な作業は、実用的なテストのガイドラインに従って、コンポーネント間の実際の相互作用をエミュレートするために、明確さ、具体性、および重要なシナリオの優先順位付けに重点を置いてテストを作成することであり、テストスイートを管理および維持するための手法も同様に重要です。これにより、ソフトウェアの変更に合わせてスイートを定期的に確認および更新し、モジュール化を組み込んで保守性を高めます。
そしてもう一つのベストプラクティスである最適な自動化ソリューションの適用には、継続的インテグレーションに統合テストを組み込むことも必須の要件となるでしょう(または近い将来の取り組み目標として)。このアプローチを通じて、テストが開発パイプラインの一部にシームレスに組み込まれ、変更に関するリアルタイムなフィードバックが提供され、開発ライフサイクル全体にわたってソフトウェアの整合性が維持されます
常に進化するソフトウェア開発環境において、綿密に練られたエンドツーエンドのテスト戦略は強力な盾となり、特に統合テストと回帰テストの自動化は予期せぬ課題を未然に防ぎ、継続的に製品の安定性と顧客満足度の向上に貢献します。Salesforceがそのビジネス価値を最大化するためのソフトウェア品質の向上は、高いレジリエンス(復元機能)を備え、効率的で、信頼できる自動化ソリューションにより実現されるのです。