SalesforceのAIエージェント「Agentforce」の実装が進むにつれ、開発・QAの現場ではある共通した課題意識が急速に広がっています。それは、Agentforceの実務システムへの展開において、「AIエージェントの品質は、もはやシングルターンでは保証できない」という懸念です。
前回のブログ「Agentforceテストにおけるシングルターン検証の課題と、マルチターン自動テストの必要性」 では、Salesforce純正のツール「Agentforce Testing Center(テストセンター)」が提供するシングルターン検証の役割と課題、またマルチターン検証の必要性と実現方法について解説しています。
実務上のAIは必ず複数ターンの対話(マルチターン)を前提とし、その会話の流れの中で業務処理を実行します。にもかかわらず、多くのテストツールは、いまだに単発の応答(シングルターン)検証、あるいはUIやAPIの断片的なテストにとどまっています。
こうした中で、Provarだけが本格的かつ連続的な対話検証を実務レベルで実現できる理由は何でしょうか。そして、なぜ多くのテストツールでは同じことが難しいのでしょうか。その答えは、Provarの「誕生したた目的」と「設計思想(アーキテクチャ)」そのものにあります。
本ブログでは、“なぜProvarだけが本格的にマルチターン検証とE2Eテストに対応できるのか”、また“他のテストツールでは困難な理由”を中心に、わかりやすく説明します。
Provarはもともと“状態遷移をまたいだE2Eテスト”のために作られた
Provarは、本来SalesforceのE2E(エンドツーエンド)の自動テストに強みを発揮するツールです。画面操作、レコード作成・更新、FlowやApexの実行、権限やプロファイルの違いによる挙動の変化など、“前の処理結果が次の処理の前提条件になる”業務プロセス全体を、1本のシナリオとして検証するための基盤として設計されました。
つまりProvarのテストは、最初から「点」ではなく「流れ」を検証する思想で作られています。この“状態遷移を前提としたE2Eモデル”こそが、マルチターン検証を可能にしている最大の理由です。
マルチターンのAI会話も本質的には同じ構造といえます。前の発話、前のユーザー入力、前の業務処理結果やレコード状態が、すべて次のターンの前提条件になります。Provarはこの「前提条件を保持したまま次のステップに進む」構造を、Salesforceテスト基盤としてすでに実装していたため、マルチターン検証に対して自然に拡張できたのです。
決定的な違いは「会話」と「業務状態」を同時に保持できること
マルチターン検証が難しい最大の理由は、“会話の文脈”と“システムの状態”を同時に保持・検証しなければならない点にあります。多くのツールは、ほとんどの場合どちらか一方しかサポートしていません。
一方、Provarでは1ターンごとに次の2つを同時に管理し、検証することができます。
●AIエージェントとの会話内容(入力・出力・変数・メモリなど)
●Salesforce側の業務状態(レコード値、FlowやApexの結果、UI状態など)
これにより、「3ターン目の会話のズレが、どの業務処理の結果から発生したのか」、「どのレコード状態が次の応答に影響を与えたのか」といった因果関係まで含めて、マルチターンの発話の挙動を立体的に検証できるのです。
一方、多くのテストツールは、会話ログだけを検証する、APIレスポンスだけを見る、あるいはUI操作だけを自動化する、といった“片方側だけのテスト”にとどまります。この設計や構造では、真の意味でのマルチターン検証には到達できません。
分岐・例外・再利用が前提の「シナリオ型テスト」という強み
もう一つ、Provarがマルチターン検証に強い決定的な理由があります。それは、テストが単なる直列スクリプトではなく、「シナリオ型」で構築できる点です。Provarのテストは、
●条件分岐
●ループ
●データ駆動テスト
●共通モジュール化による再利用
といった、業務アプリ向けテストとして不可欠な構造を最初から備えています。
そのため、例えば「顧客種別が法人ならこの会話ルート、個人なら別ルート」、「入力ミスがあった場合は再質問に戻る」、「条件変更が発生したらフローを切り替える」といった、マルチターン×分岐×例外処理を1つのテスト資産として表現できます。
これは、API単体テスト系ツールや、チャット検証専用ツールでは、構造的に極めて難しい領域です。
多くの競合ツールがマルチターンに弱い本当の理由
ここで、「他のテストツールでもマルチターン検証は実行できないのか?」という疑問をお持ちかもしれません。率直に言えば、“見た目上は複数ターンを実行できても、実務レベルの検証にはなっていない”ケースがほとんどであり、現場でAgentforceの開発・QAに関わる方々はこの点を十分に吟味するべきです。
多くのテストツールは、設計の出発点が次のいずれかに偏っています。
●APIレスポンス検証が主目的
●UI自動操作が主目的
●LLMの応答内容だけを評価するツール
これらのツールは、「会話の連続性」「業務状態の継続性」「両者の相互依存」を同時に扱う前提で作られていません。そのため、AI機能の後付けなどの手法で複数ターンを順番に実行できたとしても、
●前ターンの業務状態を次ターンに正しく引き継げない
●文脈の保持が保証されない
●外部連携やFlowの結果まで含めた検証ができない
といった構造的な制約や課題が必ず残ってしまう可能性が高いのです。
Provarのマルチターンは、そのまま「E2E業務検証」へとつながる
Provarが他と決定的に違うのは、マルチターン検証がゴールではなくテストの“通過点”になっている点です。Agentforceの業務シナリオは、会話だけで完結せず、必ずSalesforceの業務処理に接続されます。
たとえば、問い合わせに応じてCaseが作成され、Accountに紐づき、Flowが実行され、外部APIと連携し、最終的にUIやデータが更新される、といった一連の流れです。Provarでは、「マルチターンの会話→業務ロジック→データ更新→画面反映」までを、同一テストにおいて一気通貫で検証することができます。
つまりProvarのマルチターン検証は、そのまま「AIエージェントを起点としたE2E業務ワークフロー全体の信頼性保証」へと直結します。ここに、純正ツールであるテストセンターや他のテストツールにはない、圧倒的な実務レベルの価値があります。
Agentforceを回帰リスクから守る「唯一無二のテスト基盤」
Salesforce自体が年3回アップデートされ、同時にAgentforceの機能も進化していきます。その結果、モデルの進化だけでなく、基盤となるSalesforceの変更でテストが壊れてしまうリスクが生じます。
SalesforceネイティブなProvarの「メタデータ駆動」アーキテクチャの強みはメンテナンス性の高さでもあり、回帰リスクを抑えてプラットフォームの変更に強い“壊れないテスト”を維持できます。これにより、テスト担当者は「画面が変わってテストが動かない」というような本質的ではない修正作業から解放され、「進化するAIエージェントの新しい挙動をどう検証するか」という付加価値の高い作業に時間を割くことができます。
ここまでのProvarによるマルチターン検証の強みやメリットを集約すると、次の理由に行き着きます。
◎ProvarはもともとSalesforce業務のE2E状態遷移テスト基盤として設計されている
◎会話と業務状態を同時に保持・検証できる構造を持っている
◎分岐・例外・再利用を前提としたシナリオ型テストが書ける
◎マルチターンの結果を、そのままE2E業務検証へ自然に接続できる
ProvarがマルチターンとE2Eテストに本格対応できるのは、AIチャットをテスト対象として後付けしたのではなく、AIエージェントを「業務システムの一部」として最初からテストできる設計だからなのです。
まとめ:Agentforceを「業務システム」に変えるのがProvarの価値
以上のことから、Agentforceのテストにおいて基本的に必要なのは、
●マルチターンで対話が破綻しないこと
●その結果として外部連携を含む業務が正しく実行されること
●変更に対して継続的に品質を担保できること
であり、この3つを同時に満たせる現実的な選択が重要であることは間違いありません。
シングルターン検証は、AIの基礎能力を測るための重要な第一歩です。しかし、実務で使われるAIエージェントの成否を分けるのは、長い会話の中で文脈を保ち、判断し、業務を正しく実行し続けられるかどうかにあります。
その「現実の業務に耐えるかどうか」を、マルチターンとE2Eの両面から同時に検証できるのがProvarです。Provarは単なるチャットテストツールでも、単なるUIテストツールでもありません。AIエージェントを“本番で使える業務システム”に仕上げるため、唯一の現実的なテスト基盤なのです。
よくある質問(FAQ)
Q1:なぜAgentforceテストでは、シングルターン検証だけでは不十分なのですか?
A:Agentforceは実務において複数ターンの会話を前提に業務処理を実行します。そのため、単発の応答品質だけを確認しても、会話の流れの中で文脈が崩れないか、業務処理が正しく完了するかなどについては保証できません。通例、AIエージェントのテストではマルチターン全体を通した検証が不可欠です。
Q2:Agentforceテストセンターでは、マルチターン検証はできないのでしょうか?
A:テストセンターはシングルターンの応答評価やガードレール確認に優れていますが、現状では会話の流れとSalesforceの業務状態を連続的に結びつけて検証する用途には向いていません。そのため、マルチターン発話を伴う実務レベルの品質保証には、別のアプローチが必要になります。
Q3:なぜProvarはマルチターン検証を自然に実現できるのですか?
A:Provarは、もともとSalesforceの状態遷移をまたいだE2E業務プロセスを検証するために設計されたテスト基盤です。この「前の結果を前提に次へ進む」設計思想が、マルチターン会話の検証と非常に相性が良く、無理なく拡張できています。
Q4:他のテストツールでも、マルチターンテストは実行できるのでは?
A:見た目上、複数ターンを順に実行できるツールはあります。しかしUI操作系ツールなどの場合、
•会話の文脈
•Salesforceの業務状態
•外部連携やFlowの結果
を同時に保持・検証する構造を持っていません。そのため、実務レベルのマルチターン検証には限界があります。
Q5:Provarのマルチターン検証は、どこまで業務テストにつながるのですか?
A:Provarでは、マルチターンの会話 → 業務ロジック → データ更新 → 画面反映までを一連のE2Eテストとして検証できます。つまり、マルチターン検証はゴールではなく、AIエージェントを起点とした業務全体の信頼性を保証するための通過点になります。
